都市・環境工学科長あいさつ

安全、快適、そして便利な社会は私たちの理想です。それは様々な分野の知識の融合の結果実現されるものです。都市・環境工学科では土木工学の知識を活用して理想の社会をつくるための技術者を育成します。

土木工学の歴史は古く、名称は中国の古い思想書の淮南子に登場する「築土構木」から引用されたとも言われ、英語ではcivil engineeringと表記されます。海外の大学等では授業の実体に合ったcivil and environmental engineering(土木環境工学)と表現されるのが一般的です。

土木工学と環境工学は昔から密接に関係しています。上下水道施設の建設や管理は土木工学の重要な仕事のひとつです。近年では最先端の環境技術を駆使して河川や海洋などの水質改善にも貢献しています。また製鉄所や発電所等から出る産業副産物の有効利用にも大きく寄与しています。同時に道路、鉄道、港湾や空港などの交通インフラや発電所などのエネルギー施設の建設や維持管理も重要な仕事です。従いまして、卒業後は建設会社や設計会社はもとより、国土交通省などの国の機関や大分県などの地方自治体、さらには製鉄会社、電力会社、鉄道会社でも活躍することになります。

最近、特に重要になっているのは「人口減少・少子高齢化」や地震や大雨などの「自然災害(防災)」への対応です。前者ではコンパクトかつ子供や老人も安心して生活できる街を低コストで作る技術が必要です。後者では、南海トラフ地震等の巨大地震や年々威力を増す台風や集中豪雨などから人命や財産を守る技術が研究されています。

都市・環境工学科では災害に強い構造物の設計法、水資源の安定確保や水害対策、交通ネットワークや都市計画、水質改善や各種産業副産物の有効利用、そして各種計算に必要な情報処理技術や分析機器の使用法を学びます。私たちの生活や経済活動を最前線で守る技術者の育成が目的ですので専門の勉強は決して楽ではありませんが、学生たちは使命感とプライドを持って知識の修得に努力しています。

都市・環境工学科長 田中 孝典